writer: 渡邉由理
普段は運動嫌いの超インドア派な私ですが、唯一の屋外志向の趣味として、年に数回は必ず一人旅に出ます。国内も行きますが、海外にも年に1回は行くように心がけています。
いつも自分の部屋でぬくぬくしながら好きな事だけしている甘ちゃんな私が、自らの意志で知らない世界の知らない人々と関わる。しかも1人なので、すべてが自己責任です。自分の心地いい空間から、そうではない世界へと飛び出す瞬間であり、ちょっとしたチャレンジでもあります。
よく、「一人旅って寂しくない?」と周りから質問されますが、逆に私は「一人旅ってそんなに寂しいことなのか?」と疑問に思うのです。
■「一人旅=孤独」ではない
大学生の時から、友人との海外旅行も何度か経験はしていて、最終的に行き着いたのが「一人旅」というスタイルです。
何故そこに行きついたのかというと、簡単に言えば「いつもと違うことがしたいから」。せっかくのお金と時間を費やし、海まで越えて来た国なんだから、どうせならいつもと違うことをしたいんです。
最初から最後まで既に知っている誰かと一緒の場合、選択するものがパターン化されてきます。当たり障りのないおしゃれなランチを食べ、ショッピングエリアやおしゃれな観光地に行き、日本でも買えそうなものを買い、夜は繁華街で飲み歩く。これ、日本でもできるじゃん!と、ある日気づいてしまいました。
「知っている人と行く」と必ず、海外に出る必要のないもの・ことを選択してしまいます。日本では体験できないことを、自分が満足するまで体験したい。日本ではなかなか関われないその国とその国にいる人々と、もっと関わりたい。そう思うと、何も寂しいことなんかないし、孤独なこともありません。
本当の孤独って、世の中と一切の関りがないことだと思います。でも一人旅は、この世界にあるあらゆるものに自分でアクセスしに行くことだと思うので、寂しいどころか、楽しくて仕方がないです。
■一人旅で身につくもの
海外一人旅では、特に、積極的に現地の人や海外からの観光客と関わりを作るようにしています。ガイドブック等の情報には載ってないような現地ならではの知識も教えてもらえます。
特に海外であれば、歴史的背景や文化、環境も全く違うため、とにかくいろんなものが新鮮!現地の人や海外からの観光客と関わることで「いろんな人がいるんだな~」「こんな国もあるんだなぁ」「この制度、面白いな~」「これはどういう背景で作られたんだろう?」等、人や文化の多様性を再認識する機会になります。
「日本の常識」は「世界の常識」と必ずしもイコールではありません。学校の授業やニュース、本などから知識を得ることも大事なのですが、日本国内に流れている一方的な情報だけでなく、自ら世界中の人と関り自分の目で見て耳で聞くことで、日本国内では知ることのできない情報や知恵を知ることができます。
また、危険なことやトラブル、失敗に対しても、事前および現地で情報を集め、回避策や打開策の助言をもらいながら行動計画を立てるので、コミュニケーション力だけでなくリスク回避の方法や適応力、折衝力も身につきます。
日本以外の場所で、言葉も習慣も違う人たちと関りを持つたびに、私自身の「たくましく生きる力」が上がっているように感じます。
■「海外一人旅」=自分を知る機会
「海外」という非日常の環境で、「旅」を媒介にし、「1人で」考え行動する。その過程で、「好奇心と恐怖心の対立」も経験します。
「無事日本に帰ってこれるかな」「暴漢に襲われたらどうしよう」というような些細な不安や、「ここ行きたい!あれやりたい!」というわくわく感が、常に付きまといます。その感情を分析すると、「私はどんな人間」で「どんなことに不安を感じるのか」、「どんなことを楽しいと思うのか」といった、自分の価値観をよく知ることにつながり、原動力や行動力、判断の決め手になる「軸」を認識・理解します。
同時に、自分で決めた選択や決定に責任と自信を持つことが出来ます。自分の気持ち、心を無視しては、一人旅は成り立ちません。型にはまる必要もなく、誰かに遠慮することもありません。
自分を甘やかすのも、厳しくするのも、自分自身。一人旅だからこそ、自分の心に常に正直でいることができます。何度も海外一人旅を経験したことで、帰国後の生活でも何かを決める際には「自分がどうしたいか」「どう生きていきたいか」を行動・判断の軸にして主体的に考えるようになりました。
■私にとって一人旅とは
普段知らない・関わるようなことが無いような土地に行き、その土地の人々と関わり、その土地の食べ物を食べ、その土地の文化的な物に触れ、その土地の時間の流れに身を任せる。
そんな時間を年に1回は必ず作ることで、その過程で自分自信を見つめなおし、気持ちを新たにして日常生活に戻ります。
私にとって一人旅とは、自分を振り返り、自分の「軸」を再認識し、知見を深め、感性・感覚を磨くための『精神修行』であり、成長し続けるための大切な時間です。おばあちゃんになっても、この一人旅の時間はずーっと持ち続けるつもりです。
(渡邉由理)