PAJ非常勤ファシリテーターのさとじゅん(佐藤順子)は、PAJ運営施設「PANZA宮沢湖」のスタッフとしても働いています。ファシリテーターとしての経験を生かしたアドベンチャー施設での働き方とは。
ニーズをよむ
PANZA宮沢湖で働き始めて1年経ちました。PANZA宮沢湖のスタッフメンバーは子どもと関わるのが上手な人が多いので、私は主にお母さん、お父さんとの関わりを意識しています。
家族だけで楽しめている場合は距離をおいて見守りますが、例えば、親子で来ていて、どう関わっていいのか分からなそうだったり、お子さんのエネルギーが強すぎて、お母さんが持て余していたりしている場合は、近づいていって話しかけたりします。
とても元気なお子さんだと、そのことをネガティブに捉えている親御さんも多いので、「好奇心が旺盛なんですね」と伝えることで、「そういう見方もあるんだ」とほっとした表情を見せてくれる人もいます。「さっきは怖がって泣いていたのに、いまはこんなにチャレンジをしていますね」などお子さんの変化を伝えたりもします。
遊び方に困っている親御さんには、一緒に遊ぶことで遊び方を示し、遊び方が分かってきたら、すっと引いていくこともあります。そういう関わりはファシリテーションに近い感じです。必要に応じて、入っていくときはぐっと入っていく、大丈夫だと思ったら引いていきます。
一人ひとりのよさを見つける
私はPANZA以外では、ファシリテーターとして、社会的に難しかったり、発育に課題がある子どもたちと多く関わっています。子どもは可塑性があるので、関わり方次第でどんどん成長します。
元気すぎる子どもたちを、「うるさいな」と思うと、その子達は「大変な子」「手がかかる子」に見えるけれど、「エネルギーがある」と思えば、捉え方が変わります。
子どもたちをネガティブに捉えてしまうときは、自分が子どもをコントロールしようとしているときだと思うんです。枠組に入れてしまうと、子どもたちにとっても、関わる大人にとってもきついものになってしまいます。
PANZAには学校のような枠組が無いので、子どもたちも自由に遊んでいます。跳んでも、走っても、大声をあげても怒られません。たまに力の加減がわからない子はいますが、PANZAのようにゆるい枠組の中だと、子どもたちは逸脱することなく、楽しく遊べるんです。
視点を複数持つ
PANZAでは、「短い時間の中で今までできなかったことができる」という面白さに出会いました。人の育ちや成長を間近で見られるのは、PAもファンモックも同じなのでハッピーです。
昨年、臨床発達心理士の資格を取りました。ファシリテーターと心理士の視点を2つ持ち、さらにPAのときは先生の視点、PANZAでは親の視点も加わり、3つの視点で子どもたちの様子を見ています。
ファシリテーティブな関わり
PANZA宮沢湖のファンモックは自由度が大きいので、みんな思い切り遊ぶことができます。「ファンモック」というコンテンツの中で、親子で楽しんでいるところにちょっとお邪魔したり、見守ったりという、ファシリテーティブな関わりが楽しいです。PAのファシリテーターをやるときとはまた違う楽しさです。
知らない子達が仲良く遊んでいたり、「お姉ちゃん」と呼んで遊んでいたから姉弟かと思ったら、今日初めて会った子同士だったり。言葉が通じない外国の子と身振り手振りでコミュニケーションをとって遊んでいたりします。大人が介入できない、子どもたちの素敵なちからですね。
自由に遊ぶ子どもたち
ファンモックは跳んで、走れて、大きな声を出せます!飛んだり跳ねたりするだけで楽しいんです。そこにスタッフが子どもたちだけではできない遊びを、ファシリテーティブに提供しています。座っている子どもの近くでジャンプして、子どもたちを高く飛ばしたり、交互に跳び合ってうんと高く跳んだりしています。これは日常では味わえないファンモックならではの体感です。
PAJがレジャー?
PAJがアドベンチャーパークを始めたとき、「PAJがレジャー?!」と思っていました(笑)。でもいまは2つ視点で考えています。
1つ目は、アミューズメントであろうが、PAであろうが、ファシリテーティブな関わりは、どんな場面でも有効だということです。
2つ目は、より多くの子どもにチャンスが生まれるということです。学校の行事や林間学校などでPAを体験できる子どもは、日本全体で僅かです。学校の理解や金銭的な問題が関わってきます。
ファンモックは行きたいと思えば、友達や家族と来ることができます。学校の中にアドベンチャー体験をするチャンスがなくても、自分でチャンスが作れるんです。
ファンモックの中にあるスライダーを滑ることも、高く跳んでみることもチャレンジだと思うんです。その一つひとつにアドベンチャーの要素があって、その中に「チャレンジ」があったり、「チャレンジバイチョイス(自分の挑戦は自分で決める)」があったりします。
周りにちょっと小さい子がいたときに「ちょっと考えてくれるとお互いに嫌な思いしないよね」と「フルバリュー(「最大限にお互いを尊重する)」的なことを伝えると、周りを見ながら遊んでくれる子ども達もいます。
アドベンチャーのチャンスはたくさんあるといいなと思います。ファンモックを通して、アドベンチャーのチャンスが広がったという気がします。
(20200626)