あゆみのOJT2回目はトレーナーのすずめと一緒に中学生の1日プログラムでした。トレーナーにはそれぞれに個性ややり方があるので、PAJでは複数のトレーナーがトレーニーに関わっています。(1回目の記事はこちら)
入り口づくり
「入り口づくりが大切で、大変なんだなと思いました。導入の仕方や雰囲気づくりをもっと知りたいです。場の雰囲気をつくるというのは、事前に考えたり、テキストを読むだけではできるようにならないので、どういう風に学んでいったらいいのかを考えています」
2回目のOJTのあとのあゆみの言葉です。半日や1日を共にするファシリテーターがその日の始めにどう参加者と関わるかは、大切な部分です。
どんな風に参加者との心の距離を近づけていくのか、どんな形でフルバリューやチャレンジバイチョイスを盛り込むか。そしてその場にいる参加者をみながら即興的に判断する勘を養うことも必要です。
フルバリューをどう扱うか
「“プログラムのはじめにフルバリューの意味づけをするのが大切なんだよ”とすずめが言っていました。それは実際にファシリテーターをしてみて大事だなと思いました。
何かが起きたときに初めてフルバリューについて話しても伝わりにくく、特定の子や言動が悪いとなってしまうこともあると思うので、後出しはいけないんだなと思いました。自分の中のフルバリューの扱い方をもう少し考えたいと思います。」(あゆみ)
トレーナーのすずめも、
「PAのファシリテーターは、フルバリューを導入することが大前提です。その日初めて出会ったグループのメンバーにフルバリューについて伝えることで、グループに問題が起きたときにファシリテーターがその問題に介入しやすくなったり、関わりやすくなります。」
と言っています。グループにフルバリューやチャレンジバイチョイスをどう伝え、どう取り入れていくのか、PAファシリテーターにとって必須項目であり、常に考え続けていく問いでもあります。
視野を広げる
一般的に若葉マークの運転者は視野が狭い人が多いと言います。前方の一点をじっと見てしまって周りが見えなかったり、バックミラーを意識していなかったり。一方ベテランの運転者は前後左右をまんべんなく見ながら運転しています。
ファシリテーターも同じように場に立ち始めたばかりの人は、視野が狭くなりがちの人も多いのではないかと思います。目の前に参加者がいるにも関わらず、自分が考えてきたプログラムデザインをこなすことに一生懸命になったり、グループを見ているつもりでいたけれど、一人ひとりが見えていなかったり、安全に必要な情報をキャッチできなかったり…。どういう風にすれば視野を広く持てるようになるのか、一歩踏み出しながら徐々に自身のコンフォートゾーンを広げていくということなのですが、このあたりはまたベテランファシリテーターにも話をきいてみたいところです。
経験を通して見えてくるもの
2回目のOJTを終えたあゆみは、他のベテランファシリテーターがプログラムをしているところを見学に行きました。
OJTの中で実際にプログラムをしたり、トレーナーと話したことを通して、あゆみが感じたことは、
「いままで見えなかったものが見えてきた」
ということでした。
あゆみ自身はフルバリューやチャレンジバイチョイスを、プログラムの入り口やアクティビティの中でどう取り入れたり説明するかを考えて悩んできました。だからこそ、他のファシリテーターが話していることの中にそれらの要素が入っていることが見えてきました。
こうして手に入れた感覚はあゆみをさらに次のステージへといざなっていくように思います。